その正体と生態
健康・建物・環境への影響
五感調査や測定機器による調査では、カビ発生の「可能性」や「環境条件」を把握できますが、実際にどの程度カビに汚染されているのかを明らかにするためには、微生物学的な調査が必要になります。本節では、カビ調査で用いられる代表的なサンプリング方法と分析手法について解説します。
このページでわかること
・微生物学的調査の目的と役割
・主なサンプリング方法の特徴
・分析方法ごとの違いと注意点
・微生物調査結果の読み取り方の考え方
1.微生物学的調査の位置づけ
微生物学的調査と分析でカビを見える化するよ!
微生物学的調査は、カビ汚染を定量的・定性的に評価するための調査です。
| 観点 | 内容 |
| 定量評価 | 菌数・汚染レベル |
| 定性評価 | カビの種類・特徴 |
| 裏付け | 他調査結果の確認 |
この調査により、「見えないカビ」や「空気中の汚染状況」を客観的に示すことが可能になります。
いろんなサンプリング方法があるよ!
カビ調査では、調査対象や目的に応じてサンプリング方法を選択します。

主なサンプリング方法
| 方法 | 対象 | 特徴 |
| 拭き取り法 | 表面 | 汚染範囲の把握 |
| テープ法 | 表面 | 形態観察に有効 |
| 落下菌法 | 空気 | 簡易的評価 |
| 空中浮遊菌捕集法 | 空気 | 定量評価が可能 |
空中浮遊菌捕集法の例
| 方法 | 特徴 |
| インパクター法 | 培地に衝突捕集 |
| 液体捕集法 | 液体中に回収 |
空気中のカビ胞子を評価する際には、これらの方法が用いられます。
分析のやり方も多くの方法があるよ!
採取したサンプルは、目的に応じてさまざまな方法で分析されます。

| 分析方法 | 内容 | 特徴 |
| 直接鏡検法 | 顕微鏡観察 | 迅速・定性評価 |
| 培養法 | 菌の増殖 | 種類同定・菌数測定 |
| ATP測定法 | 生物由来ATP測定 | 即時性 |
| 遺伝子解析法 | PCR等 | 高精度・高感度 |
培養法は一般的ですが、すべてのカビが培養できるわけではない点に注意が必要です。
微生物学的調査だけでは判断できないよ!
微生物学的調査の結果は、数値が示されるため分かりやすい反面、単独で評価しないことが重要です。
| 注意点 | 内容 |
| 環境差 | 季節・天候の影響 |
| 測定条件 | 採取時間・場所 |
| 基準値 | 絶対基準が少ない |
多くの場合、屋外との比較や過去データとの比較によって評価されます。
カビの診断や報告書にはとても有効!
微生物学的調査は、次のようなケースで特に有効です。

この調査は、診断の裏付けや説明資料としても重要な役割を果たします。
本節では、カビ汚染調査における微生物学的調査の方法と考え方について解説しました。拭き取りや空気中サンプリングによって得られた試料を分析することで、カビ汚染の程度や種類を客観的に把握することができます。ただし、分析結果は単独で評価するのではなく、ヒアリングや五感調査、測定機器調査と組み合わせて総合的に判断することが重要です。
理解度チェック
次節では、これまでの調査結果をもとに行う「調査結果の評価と報告書作成」について解説します。